新型コロナウイルス中和抗体検査とは?
-免疫がついているか知りたい方におすすめ-
日本人全体の新型コロナワクチン接種率(2回完了)が7割を超えました(2021年11月25日時点※1)。すでに2回接種を終えたという方も多いのではないでしょうか。
発症や重症化の予防効果が期待される一方で、新しいワクチンなので効果が未知数ともいわれましたが、厚生労働省のデータによれば、ワクチンを2回接種した人の新規陽性率、重症化率は未接種の方に比べて少なく(※2)、効果があるといえそうです。
一方、ブレイクスルー感染や抗体価の減少も指摘されており、厚生労働省は3回目のワクチン接種(ブースター接種)を12月より開始することを決めました。
現在国内で使用されているファイザー製、モデルナ製のワクチンは、ワクチン接種によって「中和抗体」という抗体を体内に作ることでウイルスの働きを抑える仕組みです。一方、一般的にワクチンの効果には個人差があり、中には抗体が出来にくかったり、効果の持続期間が短かったりする人もいるとされています。
そこで、3回目のワクチン接種に向けて、ウイルスの働きを抑え、発症や重症化を防ぐ抗体を保有しているかを調べることができる「中和抗体検査」についてご紹介します。
そもそも抗体とは?
抗体は、私たちの体に侵入した細菌やウイルスなどを無力化したり働きを弱めたりする、免疫のはたらきの一つです。
免疫とは、私たちの体に生まれながらに備わっている機能で、病気にかかるのを防いで体を守ってくれます。日々の生活のなかで、細菌やウイルスといった体に害を与えるものが体内に入ってきたとき、免疫細胞と呼ばれる特殊な細胞たちが、それらを“敵(異物)”と認識して排除しようと働きます。
免疫細胞が敵(異物)を排除する方法としては、主に、免疫細胞自身が直接攻撃する方法と、抗体という物質を作って攻撃する方法があります。抗体はウイルスにつく性質を持っていて、抗体がついたウイルスは他の細胞に侵入できなくなったり抗体の作用でウイルスを弱体化させたりします。
中和抗体とは?
体内でできる抗体にはいくつかの種類がありますが、その中でウイルスの働きを抑制できるのは一部の抗体だけです。特に、ウイルスの感染力又は毒素の活性を中和し、感染、発症や重症化を防ぐことができる抗体を中和抗体といいます。
新型コロナウイルスは、その表面にスパイクタンパク質と呼ばれる突起状のトゲを持っていて、そのトゲが細胞のもつ受容体という部分に結合して細胞の中に入り込んで感染します。中和抗体は、この新型コロナウイルスのトゲ部分に先回りしてつくことで、細胞との結合をさまたげて細胞に侵入できないようにします。
ワクチン、予防接種の仕組みと役割
通常、免疫の反応は本物のウイルスや細菌などが体内に入ることで起こります。毒性を弱めて安全にした病原体(ウイルスや細菌)や毒素を前もって投与しておくことにより免疫反応を起こして、その病気にかかりにくくすることを予防接種といい、投与するものをワクチンといいます。
新型コロナウイルスワクチンの仕組みと効果
現在(2021年11月25日時点)国内で承認されている3つの新型コロナウイルスワクチンのうち、ファイザー製とモデルナ製のワクチンはmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと呼ばれる種類のものです。
実はこのmRNAワクチンは、これまでになかった新しいワクチンで、新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染するために必要なスパイクタンパク質部分の設計図となる遺伝情報(mRNA)をワクチンとして投与します。
ワクチン接種によりこのmRNAが細胞に取り込まれると、細胞の中でスパイクタンパク質が作られます。免疫がそれに反応してスパイクタンパク質に対する抗体(中和抗体)が産生され、実際の新型コロナウイルスへの抵抗力(免疫)がつくという仕組みです。
承認前にワクチンの効果を確認するために行われた臨床試験では、ファイザー社のワクチンでは約95%、モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されています。
一方、日本でも第5波の中心となったデルタ株については、従来のウイルスと比較してワクチンの効果が下がり、ファイザー社のワクチンの発症予防効果は88%と報告されています(※3)。
3回目のワクチン接種で期待できる効果(※4)
厚生労働省は、2回目までのワクチン接種が完了した方を対象に、3回目の接種(ブースター接種)を実施する方針を決めました。12月より医療従事者、高齢者、その後18歳以上の希望者に順次行われる予定です。
これは、2回のワクチン接種後から一定期間たつと、ワクチンの効果が低下する可能性が示されたからです。ファイザー社のワクチンを2回接種した人で、1ヶ月以内で88%あった感染予防効果が、5ヶ月後には47%にまで低下したとの報告があるなど、感染予防効果や重症化予防効果は時間経過とともに徐々に低下していくことが示唆されています。
一方で、米国でのファイザー社の臨床試験の結果によると、ワクチンの3回目の追加接種を行うと、血液中の新型コロナウイルスに対する中和抗体が、2回目の接種後に比べて数倍高まることが確認されています。
中和抗体検査について
「中和抗体検査」は、新型コロナウイルスワクチンの接種によって産生され、ウイルス感染や発症、重症化を防ぐ抗体(=中和抗体)が体内で産生されたかどうかを、少量の血液で測定できる検査です。
- 【中和抗体検査はどんな時に受けると良いか】
- •感染歴があり、中和抗体を保有しているか知りたい
- •ワクチンを接種する前に、すでに中和抗体を保有しているかどうかを知りたい
- •ワクチン接種後に、中和抗体が産生されたかどうかを確認したい
- •現時点でワクチンの効果(抗体価)がどの程度か確認したい
【検査をお受けいただくタイミング】
ファイザー社のワクチンでは、接種後1週間程度経ってから(ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています)、武田/モデルナ社のワクチンでは、接種後2週間程度経ってから(ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから14日程度経って以降とされています)中和抗体検査を受けることをお勧めします(※3)。
ワクチンの効果や抗体の持続期間には個人差があり、ワクチン接種はしたものの抗体価の低下が心配な方もおられると思います。引き続き、新型コロナウイルス感染症と共存する生活が見込まれる中、現在のご自身の状態を把握して、健康管理にお役立てください。
※中和抗体を保有していても、抗体量や体調によって新型コロナウイルスに感染する可能性はあります。
※どれくらいの中和抗体が新型コロナウイルスの発症防止に十分であるかはまだわかっていません。
※中和抗体検査は新型コロナウイルスを検出する検査(PCR検査や抗原検査)ではありません。現在、新型コロナウイルスに感染している状態かどうかはわかりません。
中和抗体検査をお受けいただける施設一覧
お電話繋がりましたら、「中和抗体検査を希望」とお伝えください。
人間ドックや健康診断へのオプション検査としての追加や、単独での検査も承っております。
検査実施施設 | アクセス | お問合せ先 |
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大崎駅直結 徒歩約2分 | 03-5408-8181 | |
大崎駅 徒歩約2分 | ||
大崎駅 徒歩約5分 五反田駅 徒歩約9分 |
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新橋駅 徒歩約9分 御成門駅 徒歩約6分 内幸町駅 徒歩約5分 虎ノ門ヒルズ駅 徒歩約9分 |
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浜町駅 徒歩約2分 | ||
名古屋駅直結 徒歩約1分 | 052-551-1169 | |
浜松町駅 徒歩約2分 大門駅 徒歩約2分 |
03-5472-1100 | |
茅場町駅 徒歩約8分 八丁堀駅 徒歩約8分 |
03-3551-7737 | |
立川北口健診館 |
立川駅 徒歩約5分 | 042-521-1212 |
弊会では出張での検査も承っておりますので、お気軽にお問合せください。
※受診者人数が少数の場合は、実施できないこともございます。ご了承ください。
●巡回・出張健診サービスについてはこちら
よくあるご質問
2021年8月20日時点の情報です
検査結果数値の見方を教えてくださいプラーク減少中和試験(PRNT ID50:ウイルス量を50%まで減少させることを確認する試験)では、95%信頼区間で4,160AU/mlと報告されています。
これらは4,160AU/mlを超えると、100人中95人(95%)の確率で十分な抗体があると考えられることを意味します。
ただし、体内でどれだけの抗体価があれば発症や重症化予防に十分であるかは明らかになっていないため、引き続き感染予防を行ってください。
また、新型コロナウイルス感染症は現在進行中の疾病であるため、当該データに関してもあくまで現在(2021年8月20日)判明している範疇のものとなります。
ワクチン接種後であれば、通常接種後1ヶ月程度で抗体値は上昇しますが、何らかの理由で抗体が十分に産生されなかった可能性があります。