健診項目の解説

基準値というのは、一般的に健康である人々の年齢や性別に相応した平均的な数値です。人それぞれ個性があるように、検査値にも個人差があり、さらにその日のコンディションや季節によっても違ってきます。異常を指摘されたら1つ1つのデータの変化にとらわれずに、総合判定にしたがって生活習慣の見直しを行ったり、検査や治療を受けてください。

血圧/身体計測

血圧

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検査の解説 わかる病気
心臓から血液を全身に送り出す圧力です。心臓が収縮して血液を押し出すときの圧力を収縮期(最高)血圧といい、逆に心臓が拡張して血液が元へ戻ったときの圧力を拡張期(最低)血圧といいます。測定時の緊張・疲労・季節等でも変動しますので、定期的に測定することをお勧めします。 ↑血管への負荷が増え、動脈硬化・脳卒中・虚血性心疾患を起こす確率が上がります。

身体計測

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項目 検査の解説 わかる病気
BMI BMI = 体重(kg) ÷ 身長 (m) ÷ 身長 (m) で肥満の程度を示す。22が標準です。
この数値になる体重が標準体重です。
スポーツマン等の筋肉質の方には当てはまらない場合もあります。
腹囲 おなか周りの最も細い部分ではなく、おへその位置で測定します。
内臓脂肪がどの程度蓄積しているのかの目安になります。
男:85cm未満、女:90cm未満で メタボリックシンドローム非該当。

血液検査

血液検査 -血液生化学検査-

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検査の解説 わかる病気
総蛋白 血清中に含まれる蛋白で、アルブミンとグロブリンで構成されています。 ↑脱水症
↓栄養不良、肝硬変、ネフローゼ症候群
アルブミン 血清で一番多い蛋白で肝臓で生成されます。
A/G比 血清中のアルブミンとグロブリンの比です。
AST(GOT) 主に肝臓に含まれている酵素で、肝細胞が破壊されると血液中にもれて高値となります。GOTは他に心筋障害、筋肉疾患でも高値を示します。 ↑肝炎、心筋梗塞
ALT(GPT) ↑肝炎、胆道疾患
LDH 肝臓、腎臓、心筋、骨格筋、赤血球に多く含まれる酵素で、これらの臓器に障害があると高値を示します。 ↑肝炎、悪性腫瘍、心筋梗塞
コリンエステラーゼ 肝臓で生成され血中に供給される酵素です。肝実質の障害で活性低下を起こします。 ↑脂肪肝
↓慢性肝疾患、有機リン中毒、栄養状態悪化
ALP 肝臓、胆道、骨に多く含まれる酵素です。 ↑肝・胆疾患・骨疾患、悪性腫瘍
LAP 肝臓、腎臓、小腸に多く含まれる酵素です。 ↑肝・胆道疾患、妊娠
γ-GTP 肝疾患、胆道疾患で上昇します。特にアルコール常飲者では高値を示すのが特徴です。 ↑アルコール性肝障害、慢性肝炎、閉塞性黄疸
血清アミラーゼ 膵液と唾液の中に含まれるでんぷんを分解する酵素です。 ↑急性膵炎、膵癌、アミラーゼ産生腫瘍
尿素窒素 肝臓で合成される老廃物で、腎障害のみならず蛋白質の多食や腸管内の出血でも上昇します。 ↑腎炎、消化管出血、脱水
クレアチニン 腎臓から尿中に排泄されます。腎機能が低下すると体内に増加し高値を示します。 ↑慢性腎炎、腎不全、脱水
Na、Cl 血清中に多く含まれる電解質で水分のバランス、浸透圧やpHの調節等大切な役割をしています。副腎皮質ホルモンの指令のもとに腎臓でコントロールされます。 ↑脱水、食塩過剰、副腎皮質機能亢進症
↓腎機能障害、食塩摂取不足、副腎皮質機能低下
K 細胞内液に多く含まれる電解質で、神経や筋肉の興奮の維持に重要な役割を持ち、腎臓で調節されます。 ↑腎不全、広範熱傷
↓下痢、嘔吐、ネフローゼ
総コレステロール 全身の細胞を構成する主要成分で、各種のホルモンを作る材料にもなります。人間が生きていく上で欠かせない脂質の一つです。しかし、高値が続くと、動脈硬化を起こし、心筋障害や脳卒中の引き金になります。 ↑動脈硬化、家族性高脂血症、甲状腺機能低下症
↓甲状腺機能亢進症、重症肝実質障害
HDLコレステロール 血管壁や細胞内から、蓄積したコレステロールを取り除いて動脈硬化を予防してくれる善玉のコレステロールです。 ↑家族性高HDLコレステロール血症、アルコール過多
↓動脈硬化
LDLコレステロール 比重の低いリポ蛋白コレステロール。いわゆる悪玉のコレステロール。 ↑動脈硬化、高脂血症
中性脂肪 体の中で、主にエネルギー源として使われます。過剰になると、動脈硬化を始め成人病の原因となります。 ↑動脈硬化、家族性高脂血症、糖尿病
↓栄養不良、甲状腺機能亢進症
血糖 血液中のブドウ糖のことです。糖尿病の診断指標になります。 ↑糖尿病
↓低血糖
HbA1c 過去1,2ヶ月前平均の血糖値を反映する糖尿病の指標です。直前の食事時の影響を受けません。 ↑糖尿病、腎不全、アルコール中毒
↓溶血性貧血
血清鉄 体内の鉄は3分の2が赤血球にあり、残りが主に肝臓で貯蔵されています。骨髄で鉄を原料として赤血球が作られますが、肝臓から骨髄へ転送の鉄のことです。 ↑再生不良性貧血、急性肝炎
↓鉄欠乏性貧血、悪性腫瘍、慢性感染症
全鉄結合能(TIBC) 鉄を肝臓から骨髄へ転送する最大の能力を示す値です。 ↑鉄欠乏性貧血、急性肝炎
↓悪性貧血、慢性感染症
尿酸 痛風の原因物質で、長期にわたって高値が続くと足の関節等に痛みを感じ、腎結石、動脈硬化の原因物質となります。 ↑痛風、痛風腎

血液検査 -血清反応-

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検査の解説 わかる病気
CRP 炎症がある時や組織が破壊された時に上昇します。 ↑各種炎症性疾患
RA(RF) 慢性関節リウマチの人にみられる自己抗体です。肝疾患でも陽性になることがあります。 ↑関節リウマチ、慢性肝炎、肝硬変

血液検査 -血液一般検査-

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検査の解説 わかる病気
白血球数 病原体の侵入から体を防御したり、免疫性を作る働きをします。体質的に多い人、少ない人もいます。 ↑白血病、細菌感染症
↓ウィルス感染症、慢性肝炎
赤血球数 肺から体の隅々の細胞に酸素を送り、炭酸ガスを運び出す働きをします。 ↑脱水症、多血症
↓貧血
ヘモグロビン(血色素量) 赤血球の中の鉄と蛋白が結合した色素で酸素を運ぶ働きをします。 ↓貧血
ヘマトクリット 血液中の赤血球が占める割合です。 ↑脱水症、多血症
↓貧血、失血
MCV・MCH・MCHC 貧血の形態を示す指数。上記3項目から計算されます。 貧血の形態の判別
血小板数 血管が破れて出血した時に血液を固めてその破損部をふさぎ、出血を止める働きをします。 ↑貧血、真性多血症
↓白血病、紫斑病、肝硬変
血沈 炎症や組織崩壊がある時に亢進します。 ↑炎症性疾患、貧血

血液検査 -白血球像-

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検査の解説 わかる病気
好中球 細菌や毒素などから体を守る働きをします。 ↑細菌感染、白血病
↓ウィルス感染症、顆粒球感染症
好酸球 アレルギーの発現やヒスタミンの分泌に関与しています。 ↑アレルギー性疾患、寄生虫、淋病
↓急性感染症、急性中毒
好塩基球 アレルギーに関与した働きをしますが、数が少なく生理的に消失する場合もあります。 ↑白血病、多血症
単球 体内の免疫と関係し、侵入してきた病原体に対する抵抗性を高める働きをします。 ↑ウィルスや原虫の感染症
↓敗血症
リンパ球 体内に侵入してきた抗原に対する免疫を高める働きをします。 ↑感染症・中毒症の治癒期、白血病
↓感染症の急性期、悪液質
異型リンパ球 進入してきた抗原に反応して変形したリンパ球です。 ↑ウィルス性疾患(風疹、伝染性単球症等)、感染症疾患

血液検査 -梅毒-

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検査の解説 わかる病気
RPR 2種類の異なった抗原を用いて梅毒にかかっているかどうかを調べます。 ( + ) 梅毒

尿・糞便検査/その他

尿・便潜血検査 -尿一般検査-

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項目 検査の解説 わかる病気
比重 尿の比重です。 ↑糖尿病
↓尿崩症・・・・・慢性腎炎
pH 尿のpHはpH6.0が中心の値です。食事の内容によっても変動します。 ↑動物性食品多食・高熱
↓植物性食品多食・呼吸不全
蛋白 腎臓に異常があると (+) になりますが、生理中や運動後に (+) になることもあります。 ( + ) 腎疾患、発熱
尿中のブドウ糖です。 ( + ) 糖尿病、腎性糖尿病
ケトン体 エネルギーを作り出す代謝に支障が生じた時に検出されます。 ( + ) 重症糖尿病、飢餓、脱水
ウロビリノーゲン 尿中に出る胆汁の代謝産物の一つです。 ( + ) 肝機能障害
( - ) 閉塞性黄疸
ビリルビン ( + ) 閉塞性黄疸、肝細胞性黄疸
潜血 腎臓、尿管、膀胱など尿が通る臓器に異常があると陽性になります。 ( + ) 腎癌、腎炎、尿路結石、膀胱腫瘍など

尿・糞便検査 -尿沈渣-

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項目 検査の解説 わかる病気
赤血球 尿中に赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌などが増加しているかどうかを調べます。 ↑腎炎、膀胱炎、腫瘍、結石
白血球 ↑尿路系炎症
上皮細胞 ↑尿路系炎症、腫瘍
顆粒円柱
硝子円柱
↑腎疾患、ネフローゼ

尿・糞便検査 -便検査-

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項目 検査の解説 わかる病気
便潜血 大腸や胃からの出血の有無を調べます。ヒトの血液のみ反応する方法で行っていますので食事の影響はありません。 ( + ) 大腸癌、胃癌、胃・十二指腸潰瘍
虫卵 便の中の寄生虫の有無を顕微鏡で検査します。 ( + ) 寄生虫症

その他 -眼底-

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検査の解説 わかる病気
眼底の血管、視神経などを直接観察し、動脈硬化、高血圧、糖尿病等の変化の有無を調べる検査です。
眼底の動脈は脳の血管の枝分かれしたもので、脳動脈硬化の程度をよく反映します。
高血圧、動脈硬化、腎疾患、糖尿病による網膜症

その他 -眼圧-

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項目 検査の解説 わかる病気
左右 眼球の硬さを測定して、緑内障の有無を調べる検査です。 ↑緑内障

その他 -肺機能-

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検査の解説 わかる病気
肺活量 空気をいっぱいに吸い込んで、全て吐き出した時の量です。 ↓肺腺維症、塵肺、無気肺
%肺活量 性別・年齢・身長・体重より計算した肺活量の予測値を100%とした時、実測の肺活量を%で表したものです。
1秒量 1秒間に一気にどれ位空気を吐き出せるかを測定します。 ↓肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息
1秒率 最初の1秒間に肺活量の何%を一気に吐き出せたかを算出したものです。

胸部X線撮影

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検査の解説 わかる病気
直接(間接)撮影 肺・胸膜・心臓などの状態を調べます。 肺炎・肺結核・肺癌など
CT

上部消化管

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検査の解説 わかる病気
X線撮影 食道・胃・十二指腸の状態を調べます。 胃(十二指腸)潰瘍・胃癌・慢性胃炎・逆流性食道炎など
内視鏡

心電図検査

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検査の解説 わかる病気
心臓の筋肉が収縮したりするときに流れる、ごくわずかな電気を記録し波形に表したものです。 心肥大・心筋梗塞、心筋症・不整脈など

腹部超音波検査

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検査の解説 わかる病気
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの腹部臓器を超音波で調べる検査です。 肝臓・胆嚢・腎臓・膵臓・脾臓の各疾患(ポリープ・結石・腫瘍・嚢胞)

乳腺(乳触診・X線撮影・超音波検査)

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検査の解説 わかる病気
腫瘍の有無やリンパ節の腫れがないかを調べます。 乳癌 ・ 乳腺症、良性腫瘍
(Dense Breast とは乳腺組織が密なため、X線撮影では画像全体の濃度が濃く映るタイプの乳房。腫瘤の検出が困難であるため、超音波での検査を併用することをお勧めします)
X線撮影判定でのカテゴリー表示について
判定基準 カテゴリー 1 異常認めない。 }正常範囲
カテゴリー 2 良性の所見。精密検査や治療の必要なし。
カテゴリー 3 良性の所見ではあるが、悪性を否定できない。 }乳腺専門医(外科)への受診が必要です。
カテゴリー 4 悪性の疑い。
カテゴリー 5 悪性。

子宮内診・超音波検査

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検査の解説 わかる病気
子宮、卵巣の触診および超音波での検査です。 子宮癌、子宮筋腫、ポリープ

子宮頸部・体部細胞診

新しくベセスダシステム(医会分類)により判定しています。

細胞診結果(扁平上皮系)

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判定 結果 従来のクラス分類
NILM 陰性 クラスⅠ、Ⅱ 異常なし
ASC-US 意義不明な異型扁平上皮 クラスⅡ-Ⅲa 要精密検査
(HPV検査)
ASC-H HSILを除外できない異型扁平上皮 クラスⅢa-b 要精密検査
(コルポ、生検) 
LSIL 軽度扁平上皮内病変 クラスⅢa
HSIL 高度扁平上皮内病変 クラスⅢa、Ⅲb、Ⅳ
SCC 扁平上皮癌 クラスⅤ

細胞診結果(腺細胞系)

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判定 結果 従来のクラス分類  
AGC 異型腺細胞 クラスⅢ  要精密検査
(コルポ、生検)  
AIS 上皮内腺癌 クラスⅣ
Adenocarcinoma 腺癌 クラスⅤ
other malig. その他の悪性腫瘍 クラスⅤ  要精密検査

経過観察(C**)

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項目 検査の解説
(C12・C6・C3等) Cの後に表示された数字の月数を目安にして再検査を受けることをお勧めする判定です。
その間は自覚症状が無ければ特に医療行為は不要です。