胃カメラの前日に注意したほうが良いことは?検査を受けるときのポイントも紹介
胃カメラ検査を受けてみたいと考えているものの、検査前の食事制限や当日の流れに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。特に初めて受診される方は、検査時の苦痛や不安が気になるかもしれません。
今回は、胃カメラ検査を受ける前日に注意すべきポイントと、より快適に検査を受けるためのコツについて紹介します。検査に対する不安を少しでも和らげられるよう、参考にしてみてください。
胃カメラはどのような検査?
胃カメラの正式名称は「上部消化管内視鏡検査」です。食道・胃・十二指腸を隅々まで観察できます。
この検査によって、胃がんや食道がん、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープなどの病変がわかります。
なお、同じく胃の検査ができる
バリウム検査(正式名称:胃部X線検査)は、バリウム造影剤を飲み、X線で胃の形状や動きを確認する検査です。胃カメラに比べて負担は少ないものの、詳細まで観察するのが難しいケースがあります。
一方、胃カメラは直接胃の内部を観察するため、胃の形状を正確に把握でき、小さな病変も発見しやすいのが特徴です。
胃カメラには口から・鼻から挿入する方法がある
胃カメラ検査には、口から挿入する「経口内視鏡検査」と、鼻から挿入する「経鼻内視鏡検査」があります。主なメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
経口内視鏡検査 | ・画像解像度が高い ・鎮静剤使用で眠った状態での検査ができる ・広範囲の観察ができる ・早期がんを発見しやすい | ・喉に違和感を覚えやすい ・胃の中に異物感がある ・鎮静剤を使用した場合は車の運転ができない ・検査中に会話ができない |
経鼻内視鏡検査 | ・咽頭反射が起きにくい ・経口内視鏡よりもスコープが細い ・検査後すぐに運転ができる ・検査中に会話できる | ・画像解像度がわずかに劣る ・鼻腔が狭い場合は痛みや出血の可能性がある ・視野が狭い場合があり、詳細な判断が難しい |
胃カメラの前日は食事に気を付けよう
飲食をする時間に注意する
胃カメラの検査時間によって、食事のタイミングを調整する必要があります。
午前中に検査を受ける場合は、前日の21時までに食事を済ませるのが一般的です。午後の検査の場合は、予約時間の6時間前までに朝食を摂ることが推奨されます。
また、水やお茶であれば予約時間の2時間前まで飲んでも問題ありません。
食事や水分を摂るタイミングに関しては、医療機関によって指示が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
消化の良い食べ物を食べる
検査前日は、消化の良い食事を心がける必要があります。脂質の多い食事や繊維質の多いものはできるだけ控えましょう。
【食べても良いもの】
分類 | 具体例 |
---|---|
主食 | おかゆ、うどん、そうめん、パン(シンプルなもの) |
たんぱく質 | 皮なし鶏むね肉、白身魚、刺身、豆腐、ゆで卵 |
デザート類 | プリン、ゼリー、ヨーグルト |
【控えたほうが良いもの】
分類 | 具体例 |
---|---|
油っぽい食事 | ラーメン、揚げ物、脂身の多い肉 |
繊維質の多いもの | 海藻類、キノコ類、野菜 |
パン類 | クロワッサン、デニッシュなどの油脂の多いもの |
調理法は蒸す、煮るなど、油を使わない方法がおすすめです。食事内容について不安がある場合は、医療機関に確認しましょう。
色のついた飲み物やアルコールは極力控える
検査の精度を保つため、色のついた飲み物は控えることが推奨されています。ジュースやコーヒーは胃カメラでの観察を妨げる可能性があるため避けましょう。
アルコールは胃の粘膜を傷つけるおそれがあるため、前日は基本的に控える必要があります。飲み物は水やお茶など、ノンアルコールで色の濃くない、透明なものを選ぶようにしてください。
食べ過ぎないようにする
胃カメラ検査をスムーズに行うためには、前日の食事量にも注意が必要です。
食べ過ぎると検査までに十分な消化が行われず、胃の中に食べ物が残ってしまう可能性があります。観察したい部分が見えにくくなったり、検査中に嘔吐を引き起こしたりする原因にもなります。
検査中のさまざまな負担を避けるためにも、適量を心がけてください。
【胃カメラ】検査当日・検査後の留意点
胃カメラ検査当日は、原則として検査前の食事は控えましょう。予約の2時間前までは水やお茶であれば摂取しても問題ありません。
検査後の食事制限はありません。しかし、数日間の食事制限を行っている状態から急に胃に食べ物を入れると、胃痛や嘔吐などの症状が発生するおそれがあります。胃への負担を考慮して、おかゆやヨーグルトなど消化の良い食べ物から始めることをおすすめします。
胃カメラを受けるときのポイント
胃カメラ検査に対して不安や抵抗感を持つ方は多いものです。検査時の苦痛や不快感を大幅に軽減するためのポイントを紹介します。
ポイント1.経口内視鏡をする場合は鎮静剤を使う
経口内視鏡は、経鼻内視鏡と比べてスコープが太く、嘔吐反射が起きやすい特徴があります。経口内視鏡検査に不安がある場合は、鎮静剤を使うことでウトウトとした状態で検査を受けられるため、苦痛を感じにくくなります。
鎮静剤を使うメリットとデメリットは、下記の通りです。
【鎮静剤を使うメリット】
・不安や緊張感が和らぐ
・検査中の苦痛や不快感を大幅に軽減できる
・嘔吐反射が抑制され、検査をスムーズに実施できる
【鎮静剤を使うデメリット】
・血圧低下や呼吸抑制のリスクがある
・検査後1時間程度の休憩が必要になる
・当日は車や自転車の運転が禁止される
なお、お酒を頻繁に飲む方や睡眠薬を常用している方は鎮静効果が得られにくい傾向があるため、事前に医師に相談することをおすすめします。
ポイント2.できるだけ体をリラックスさせる
胃カメラ検査では、リラックスした体勢で受けることが重要なポイントです。特に喉や首、肩の力を抜いてリラックスした状態を保つことで、検査時の苦痛を大幅に軽減できます。力が入ってしまうと検査チューブの刺激がより強く感じられ、のどの痛みの原因にもなります。
また、呼吸方法を工夫することも効果的です。経口内視鏡であれば口を大きく開けてゆっくりと鼻呼吸を、経鼻内視鏡の場合は静かにゆっくりと腹式呼吸を心がけましょう。検査前は深呼吸を行うことで、自律神経が整いリラックス効果が得られます。
まとめ
胃カメラ検査を安心して受けるためには、事前の準備と心構えが重要です。検査前日は食事の時間と内容に気を配り、消化の良い食事を適量摂取しましょう。色付きの飲み物やアルコールは控え、検査当日も指示された食事制限を守ることも大切です。
胃カメラ検査は、進興会の各クリニックでも実施しています。進興会は30年の実績を持つ健康診断のプロフェッショナルとして、年間約50万人もの方々にご利用いただいています。東京を中心に、北海道、宮城県、愛知県まで12の健診施設を展開しています。
予約から問診票記入、結果確認までをWeb上で完結できる便利なシステムを導入し、より快適な受診環境を整えています。健康診断・人間ドックに関する豊富な経験と実績を活かし、質の高い検査と行き届いたサービスを提供します。
進興会が運営するセラヴィ新橋クリニックでは、ニーズの高い胃カメラ検査を5部屋ご用意しているため、スムーズなご案内が可能です。鎮静剤のオプションもあり、検査への不安を軽減します。検査後は専用のリカバリールームで十分な休憩を取ることができ、安心して帰宅することが可能です。
また、当クリニックでは、がんや生活習慣病の早期発見を目的とした、クリニックオリジナルの人間ドック(全額自己負担)のコースを、ご自身の状況に合わせて複数用意しております。MRIでの頭部・全身の検査を含んだコースや、女性専門のコースなど、幅広くご利用頂けます。
例えば、「スタンダードプラスドック」コースや「レディースドック」コースでは、基本の人間ドックの項目に加えて、胃カメラの検査を実施しております。また「プレミアムDWIドック」コースでは、MRIを使用した全身スクリーニング検査を行うため、がん・脳疾患など総合的に検査したい方におすすめです。
監修
森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。