人間ドックは何歳から受ける?年代別の受診項目や施設選びのポイントも紹介

友人や同僚が人間ドックを受けている話を聞くと、自身も受診すべきか考えることがあるのではないでしょうか。
人間ドックは異常を早期に発見し、疾患の発症を予防するのが目的です。受ける時期に決まりはなく、早すぎるということはありません。今回は、年代別で受けるべき検査項目や、人間ドックを受ける施設選びのポイントについて解説していきます。
人間ドックは何歳から受けられる?

人間ドックは、一般的には20代から受診できます。身体の異常を早期に発見し、疾患の発症を未然に防ぐことを目的としているためです。しかし、現状において、20代から人間ドックを受診する人は少ない傾向にあります。
様々なデータがありますが、その中の一つデータでは2021年度に、人間ドックを受けた受診者4054人のうち、50代は1403人であるのに対し、20代はわずか14人という結果が出ています。
身体の衰えを感じる年代からの受診でも問題はありませんが、自覚症状がない疾患や身体の異常を発見するといった意味では、早い年代からの受診をおすすめします。
受診の頻度は、年に1回程度が理想的です。毎年受けることで、疾患が早期に発見でき、前年の結果と比較することで、予防医療のメリットを最大限に活かすことができます。
【年代別】人間ドックで受けたほうがよい検査項目
人間ドックでは、基本の検査項目に加え、気になる症状や疾患に関連する検査をオプションとして追加することが一般的です。以下に、年代別におすすめの検査項目をまとめました。
- 身体計測
- 血圧測定
- 血液検査
- 尿検査
- 心電図検査
- 腹部超音波検査(腹部エコー)
- 視力検査
- 聴力検査
- 胸部レントゲン検査
- 胃部レントゲン検査(胃バリウム検査)
20代が人間ドックで受けたほうがよい検査項目

子宮頸がんや卵巣がん、乳がんといった女性特有の疾患は、20代後半からリスクが高まります。人間ドックで早期発見し、治療につなげることが大事です。
子宮頸がん検診などの婦人科検診は、20代から受けることをおすすめします。
性別 | 検査項目 |
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女性 | 子宮頸がん検診 乳腺超音波検査(乳腺エコー) HPV |
30代が人間ドックで受けたほうがよい検査項目
30代は働き盛りの年代で、昇進や昇格などによって責任ある仕事を任せられるようになります。結婚や出産などにより生活環境が変わる方も多いでしょう。将来を考え、健康リスクをチェックするのがおすすめです。
30代男性は、胃がんや大腸がんの罹患率が徐々に高まります。以下の項目を追加するのが望ましいでしょう。
胃がんの検査 | 胃部X線検査(胃バリウム検査) 胃内視鏡検査(胃カメラ) 胃がんリスク検査(ABC検査) |
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大腸がんの検査 | 便潜血検査 大腸内視鏡検査(大腸カメラ) |
生活習慣病に関する血液検査 | コレステロール値や血糖値 |
30代女性は20代に引き続き、女性特有の疾患をチェックしましょう。以下の項目を加えるのがおすすめです。
子宮頸がんの検査 | 子宮頸部細胞診、HPV |
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乳がんの検査 | 乳房超音波検査(乳房エコー) |
子宮頸がんは、以前は40代が発症のピークでした。日本産科婦人科学会では近年、20~30代で増加しており、30代後半がピークと指摘しています(※1)。
一方、乳がんは、日本人女性がもっともかかりやすいがんです。発症リスクは30代後半から急激に上昇します。
40代が人間ドックで受けたほうがよい検査項目
40代は生活習慣病のリスクが高まる年代です。不規則な生活やストレスによる影響を早期にチェックしておきましょう。
胃がん・大腸がん・肺がんの罹患率が徐々に上昇し、男性は40代後半から前立腺がんのリスクも高まるため、以下の検査を追加することが望ましいです。
肺がんの検査 | 胸部X線検査 胸部CT |
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前立腺がんの検査 | PSA検査(血液検査による腫瘍マーカー検査) |
40代女性は、子宮頸がん・乳がんに加え、子宮体がん・胃がん・大腸がんの罹患数も上昇します。以下を追加するのがおすすめです。
乳がんの検査 | マンモグラフィ |
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子宮体がん検査 | 子宮体部細胞診 |
卵巣がん・子宮周辺の疾患を調べる検査 | 経腟超音波検査(経腟エコー) |
50代が人間ドックで受けたほうがよい検査項目
50代以降は、がんや生活習慣病のリスクが一層高まるため、これまでの検査項目に加えて、心臓や脳の検査も重要です(※2)。
がんの罹患率は高く、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などを持つ方の割合も増加します。心臓病や脳血管疾患の発症率は50代から増えるため、人間ドックを定期的に受けて、早期発見することが重要です。
40代での項目に加え、以下の検査を受けることをおすすめします。
心臓の検査 | 心臓MRI検査 心臓超音波検査(心エコー) 心電図 |
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脳の検査 | 頭部MRI検査 頭部MRA検査 頸動脈超音波検査(頸動脈エコー) |
50代女性では、死因の半数以上が悪性新生物(がん)です。2023年の報告によれば、死亡総数の多い部位は、1位乳がん、2位大腸がん、3位子宮がんでした(※3)。
また、50代は閉経を迎える時期です。女性ホルモンの分泌低下によって骨密度が減少し、骨粗鬆症を招く可能性もあります。40代の検査項目に加え、以下の検査をおすすめします。
膵臓がんの検査 | 腹部エコー検査 腹部CT検査 |
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骨粗鬆症の検査 | 骨密度検査 |
60代が人間ドックで受けたほうがよい検査項目
60代は、人間ドックで発見された疾患の治療が始まる場合があります。適切な治療を受け、他の疾患が併発しないようにすることも重要です。
60代男性は、肺がんや胃がん、大腸がんの死亡数が急増します。50代男性で推奨される検査項目に加え、以下の検査をおすすめします。
全身のがんスクリーニング検査 | 全身MRI検査[DWI法] |
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60代女性のがんの死亡数は、50代女性のおよそ2倍です。さらに、動脈硬化の進行によって、生活習慣病を引き起こしやすくなります。50代での検査項目に加え、以下を追加するとよいでしょう。
動脈硬化のリスクを調べる検査 | 血液検査(コレステロールや血糖値など) |
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心臓の検査 | 冠動脈CT検査 心臓MRI検査 心臓超音波検査(心エコー) 運動負荷心電図 |
脳の検査 | 頭部MRI検査 頭部MRA検査 頸動脈超音波検査(頸動脈エコー) |
人間ドックを受ける施設を選ぶ際のポイント
人間ドックができる施設を選ぶ際は、通いやすさや希望する検査項目があるかどうか、フォローアップ体制があるかなどを確認しましょう。5つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。
ポイント1|利便性の高い施設を選ぶ
人間ドックを受けられる施設を選ぶ際は、Web予約システムの有無やアクセスの良さなど、利便性の高さを考慮しましょう。可能なら、毎年同じ施設で受けるのが理想です。前回の検査結果と比較でき、疾患の早期発見につなげられます。
ライフスタイルや仕事の状況も考慮し、自分にとって適切な施設を選びましょう。
ポイント2|希望する検査項目がある施設を選ぶ
自分が受けたい検査項目があるかどうか確認しましょう。人間ドックで受ける検査は、自分で決定するのが基本です。また、家族歴についても調べておくと、血縁者にどのような病気が発症しやすいか明確になるため、検査項目を選ぶ際の判断基準にもなります。
多数の選択肢から、必要な項目や将来検査したい項目があるかどうかをチェックしてください。どの検査が必要か迷った場合は、予約時にコールセンターや、当日の受付や医療スタッフに相談することをおすすめします。
ポイント3|人間ドックの質が高い施設を選ぶ
人間ドックの精度が高いかどうかも大事なポイントです。人間ドックの精度を評価する基準として、以下の2点があります。
・日本人間ドック学会の認定を受けている
人間ドックの精度や医療スタッフの専門性が一定水準以上であることを示しています。
・豊富な検査数
豊富な検査経験があるとデータの蓄積があり、精度の高い検査と的確な判断が期待できます。
これらの情報は、施設のホームページで確認できることが多いため、施設選びの際は必ずチェックしましょう。
ポイント4|フォローアップ体制のある施設を選ぶ
人間ドックを受診した後は、フォローアップ体制が整っている施設を選ぶことが重要です。検査で異常が発見された場合、早期の治療が求められるケースもあるため、再検査や精密検査をスムーズに受けられる施設を選択することをおすすめします。適切なフォロー体制が整っている施設であれば、安心して継続的な健康管理が可能です。
健診専門の施設で受ける場合は、連携先の施設を確認してください。どこの施設でどの程度フォローしてもらえるのかがわかれば、不安の軽減にもつながります。
ポイント5|プライバシーや感染予防対策がされている施設を選ぶ
プライバシーへの配慮や、感染予防対策が行われているかもポイントです。
近年では、男女別のフロアを設ける、メンズデー・レディースデーを導入するなど、プライバシーに配慮した施設が増えています。また、感染予防の観点から、待合スペースを広く確保し、密を避ける工夫をしている施設もあります。
受診時の快適さや安心感を重視する場合は、これらの対策が講じられているかを事前に確認し、適切な環境で受診できる施設を選びましょう。
まとめ
人間ドックは何歳から受けられるのか、年代別におすすめの検査項目、施設選びのポイントを解説しました。定期的に健康状態をチェックすることで、がんや生活習慣病の早期発見・早期治療が可能となり、健康維持に役立ちます。
健康を長く維持するためにも、ぜひ毎年の受診を習慣化し、適切な健康管理を心がけましょう。
医療社団法人進興会では、健康診断・人間ドックのプロフェッショナルとして、行き届いたサービスと質の高い検査を提供しております。安心・満足な健康診断にこだわり続けて30年。年間約50万人もの受診者様にご利用いただいております。
進興会の各施設では、皆様のご要望に柔軟に対応できるよう、多彩なコースをご用意しております。「どのコースを受けるべきかわからない」といった方は、お気軽にご相談ください。
なお、東京新橋に立地するセラヴィ新橋クリニックでは、がんや生活習慣病の早期発見を目的として、全額自己負担で受診していただける、5つの人間ドックコースをご用意しております。
現在、春のキャンペーンとして「春の人間ドックご優待コース」を実施中です。受診期間は、2025年4月1日(火)~5月30日(金)までとなっております。年に一度の身体のチェックに、ぜひ本キャンペーンをご利用ください。
出典:
※1:社会医療法人同愛会の博愛病院ドック健診センター「2021 年度(令和 3 年度)人間ドック受診者統計」
※2:日本産科婦人科学会「子宮頸がん」
※3:国立研究開発法人国立がん研究センター「新基準人口:全国がん死亡データ(1979年~2023年)」
監修

森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。