乳がん検診は何歳から?マンモグラフィと超音波(エコー)検査の違い・選び方を解説

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患者数が年々増加している乳がん。生涯で乳がんを発症する割合は、女性の9人に1人といわれています[※1]。だれもが乳がんになる可能性があるからこそ、症状の有無にかかわらず乳がん検診を受け、早期発見につなげることが大切です。今回は、乳がん検診で行う検査の種類や年齢に応じた検査の選び方について、詳しく解説します。

乳がん検診はなぜ必要?知っておきたい基本知識

国立がん研究センターの最新統計によると、乳がんは女性がかかるがんの第1位で、1年間で乳がんと診断された女性の数は約9万8千人にも上ります[※1]。患者数が多いがんですが、早期に発見し、適切な治療を受ければ高い確率で完治が見込めるがんでもあります。

完治が見込める段階で乳がんを見つけるためには、定期的に乳がん検診を受けることが大切です。がんによる死亡を減らす効果が確実にあるとして、国は40歳以上の女性に対して2年に1回乳がん検診を推奨しています。自治体が行う乳がん検診は公費による助成があるので、一部の自己負担金で受けることが可能です。

早期の乳がんは自覚症状がないことも多いため、症状がないから問題ないと考えるのは禁物です。がん検診は「自覚症状がないうちに受けることが大事」ということを覚えておきましょう。

マンモグラフィと超音波(エコー)検査の違いとは

乳がんを調べる検査には、「マンモグラフィ」や「超音波(エコー)検査」などがあります。マンモグラフィとは乳房専用のX線検査(レントゲン)のことで、異常を発見しやすくするために乳房をプラスチックの板で挟み、圧迫して撮影します。超音波検査は乳房の表面に超音波を当て、乳房の中を画像化して調べる検査です。

マンモグラフィと超音波(エコー)検査の特徴

マンモグラフィ超音波(エコー)検査
検査の方法乳房を撮影台に載せて圧迫板で押さえ、上下と左右の2方向からレントゲン撮影をする(施設によっては1方向の場合もあり)乳房の表面にプローブ(超音波を出す器械)を当て、プローブを縦横に滑らせて乳房内の様子を観察する
メリット・小さなしこりや石灰化(※)が確認できる
・乳がんの死亡率を下げるという科学的根拠のある検査方法として国が推奨している
・乳腺の密度が高く、マンモグラフィではしこりの有無が分かりにくい場合でも、しこりを確認することができる
・痛みがほとんどない。被ばくの心配がないので、妊娠中でも検査を受けられる
デメリット・検査に痛みを伴うことがある・小さな石灰化(※)を確認するのが難しい

※石灰化:乳腺の中にカルシウムが沈着した状態。乳がんで確認されることがある

マンモグラフィのメリットのひとつとして、乳腺の「石灰化」が発見できる、ということがあります。石灰化とは、乳腺の中にできるカルシウムの塊で、画像には白い砂粒のように映ります。このカルシウムの塊自体は悪さをするわけではありませんが、がんのサインである場合があり、マンモグラフィ検査はこの石灰化を発見するのが得意です。 石灰化からみつかった乳がんは、早期がんであることが多いため、マンモグラフィは乳がんの早期発見に有用です。

マンモグラフィは受けない方がいいってホント?

マンモグラフィは乳がんによる死亡率を減少させる効果が科学的に証明されているため、国は乳がん検診の方法としてマンモグラフィを推奨しています。

ただ、マンモグラフィはX線という放射線を使用するため、被ばくが気になる方もいるかもしれません。撮影には低エネルギーのX線を使用し、乳房を薄く広げることで被ばく量を減らす工夫をしています。検査による被ばく量は、通常の生活の中で受ける自然界の放射線レベルと同じくらいなので、心配はいりません。

40歳未満の女性では、乳腺の密度が高い場合があり、マンモグラフィで見ると画像が全体的に白っぽくなってしまい、同じく白く映るがんを見分けることが難しい場合があります。そのため、がんがあるのに見つけられなかったり(偽陰性)、実際にはがんではないのに「要精密検査」と判定されたりする(偽陽性)といった可能性もあります。

マンモグラフィと超音波(エコー)検査、どっちを受けるべき?

乳がんが増えてくるのは30代からで、40代後半と70代前半に2回のピークがあります[※2]。自治体が実施する乳がん検診は40歳以上の女性を対象にしていますが、40歳未満でも人間ドックや会社の健康診断などで受ける機会があれば、ぜひ乳がん検診を受けておきましょう。

40歳以上の方に対しては、マンモグラフィによる乳がん検診が推奨されます。症状の有無にかかわらず、2年に1回は受けるようにしましょう。ただし、乳房の状態によりマンモグラフィでは見つけにくく、超音波(エコー)検査のほうが得意なものもあります。互いの検査の弱点を補い合うという意味で、40歳以上であれば、マンモグラフィと超音波(エコー)検査の両方を受けるのが理想的です。

乳がん検診で「要精密検査」の結果が出たら、できるだけ速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けるようにしましょう。当医療法人の各クリニックでも乳がんの精密検査を実施しております。また、セラヴィ新橋クリニックでは高度な検査や専門的な治療ができる医療機関と連携しており、万が一の場合にもスムーズなご紹介が可能です。 精密検査の結果、問題がなかったとしても、がん検診は必ず定期的に受けることが重要です。

乳がん検診を受けられる進興会の医療機関

各施設で「マンモグラフィ」と「超音波(エコー)検査」を実施しています。乳がん検診をご希望の方は、最寄りの各施設へお気軽にお問い合わせください。

<東京>

施設名アクセス
進興クリニック大崎駅直結 徒歩約2分
進興クリニック アネックス大崎駅 徒歩約2分
オーバルコート健診クリニック・大崎駅 徒歩約5分
・五反田駅 徒歩約9分
セラヴィ新橋クリニック・新橋駅 徒歩約5分
・御成門駅 徒歩約7分
・内幸町駅 徒歩約5分
・虎ノ門ヒルズ駅 徒歩約8分
・虎ノ門駅 徒歩約10分
・汐留駅 徒歩約8分
浜町公園クリニック浜町駅 徒歩約2分
立川北口健診館立川駅 徒歩約5分
東京ダイヤビルクリニック・茅場町駅 徒歩約8分
・八丁堀駅 徒歩約8分
浜松町ハマサイトクリニック・茅場町駅 徒歩約8分
・八丁堀駅 徒歩約8分

<名古屋>

施設名アクセス
ミッドタウンクリニック名駅名古屋駅直結 徒歩約1分

<仙台>

施設名アクセス
せんだい総合健診クリニック・あおば通駅 徒歩約6分
・仙台駅 徒歩約8分

<札幌>

施設名アクセス
札幌フジクリニック・札幌駅直結 徒歩約5分

参考文献

※1:国立がん研究センター, がん情報サービス 最新がん統計
※2:国立がん研究センター, がん情報サービス がん種別統計情報 乳房

監修

森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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