肺がんを早期発見するために。知っておきたい症状とがん検診のコト

がんの中でも死亡数が多い肺がん。喫煙が発症リスクを高めることが知られていますが、近年では非喫煙者の肺がんが増加傾向にあり、だれもが発症する可能性のあるがんと言えます。今回は、肺がんの代表的な症状やリスクを高める要因、自覚症状がない段階で早期発見するための肺がん検診について詳しく解説します。
目次
肺がんではどんな症状が現れる?
肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化することで発生する病気です。
肺がんは、あらゆるがんの中で特に死亡率が高いがんで、部位別の死亡数を見ると、肺がんは男性で第1位、女性で第2位となっています[※1]。死亡率が高い理由として、早期の段階では自覚症状に乏しく、進行した状態で発見される場合が少なくないことが挙げられます。
部位別のがん死亡数
肺がんの初期には、咳や痰(たん)、血痰(血が混じった痰)、息苦しさや動悸などがよく見られる症状です。ただ、これらの症状は、風邪や他の病気と間違えやすいものが多くありますので、以下の項目に当てはまらないか、チェックしてみましょう。
2週間以上続く咳や痰
肺がんの最も多い初期症状は、長引く咳や痰です。 風邪や気管支炎の咳は、ウイルスや細菌が原因で、通常1〜2週間で治まります。咳が2週間以上、さらに長く続く場合は注意が必要です。特に、これまで咳が出なかった人が急に咳き込むようになったり、痰が切れにくくなったりした場合は、がんが気管支を刺激している場合があります。
血が混じる痰(血痰)
痰に血が混じる「血痰(けったん)」は、肺がんを疑う重要なサインの一つです。 痰全体がピンク色や赤褐色に見えたり、痰の中に糸状の血が混じったりします。一度でも血痰が出た場合は、他の症状がなくても必ず呼吸器内科を受診してください。
息苦しさや胸の痛み
がんが肺の外側にある胸膜(きょうまく)や胸壁(きょうへき)に広がると、胸に痛みを感じることがあります。チクチクとした痛みや、深呼吸をしたときに強まる痛みが特徴です。 また、がんが大きくなって気道を塞いだり、胸水が溜まったりすると、体を動かしたときに息切れや息苦しさを感じるようになります。
声のかすれ(嗄声)
声帯をコントロールする神経は、肺の近くを通っています。肺がんがこの神経を圧迫すると、声がかすれる症状が現れることがあります。 風邪でもないのに声のかすれが長く続く場合は、注意が必要です。
原因不明の発熱や体重減少
がん細胞そのものが発熱物質を出したり、体ががんと闘うためにエネルギーを消耗したりすることで、原因不明の発熱や強い倦怠感(だるさ)が現れることがあります。風邪などの症状がないのに微熱が続いたり、食欲不振やダイエットをしていないのに半年で5kg以上体重が減ったりした場合は、がんが体力を消耗させているサインかもしれません。
肺がんが進行し、脳や骨などにがんが転移すると、頭痛やふらつき、吐き気、背中や肩などの痛みといった症状が出ることもあります。背骨や肋骨に広がったがんによる痛みが、肋間神経痛として治療されていることもあります。大切なのは、長引く症状や治療をしても改善しない症状を見逃さないことです。
これらの症状が2週間以上続く場合は、肺がんや、肺がんでなくとも別の病気が潜んでいることもあり、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
肺がんのリスクを高める要因は?
肺がんは女性よりも男性に多いがんです。最新の統計によると、1年間で新たに肺がんと診断された人の数は、男性で8万2,749人、女性で4万1,782人と報告されています[※1]。
肺がんの最も重大な危険因子は喫煙です。タバコには約60種類の発がん物質が含まれており、習慣的な喫煙によって肺や気管支が繰り返し発がん物質に曝されると、細胞の遺伝子に変異が生じ、やがてがん化していくと考えられています。
非喫煙者と比べた場合の喫煙者の肺がん発症リスクは、男性で4.4倍、女性で2.8倍といわれています[※2]。喫煙を始めた年齢が若いほど、また喫煙量が多いほど肺がんになるリスクが高まるため、喫煙歴の長い男性は特に注意が必要です。
たとえ自分が喫煙をしていなくても、受動喫煙による悪影響を受けることもあります。受動喫煙は肺がんのリスクを2~3割高めるといわれており、最近の研究では受動喫煙が遺伝子の変異を誘発し、肺がんの発生を促進する可能性が示されています[※2,3]。受動喫煙による健康被害は決して小さくないので、普段からできるだけタバコの煙を避けることが大切です。
喫煙のほか、アスベストやPM2.5などの有害物質に長期間さらされることも、肺がんのリスクを高める要因となります。また、肺結核や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎などの肺の病気も肺がんの危険性を高めるといわれています。
40歳を過ぎたら、必ず肺がん検診を!
肺がんは症状がないまま進行することも少なくないため、早期発見のためには「肺がん検診」を受診することが重要です。
国の指針に基づいて各自治体で実施される肺がん検診は、費用のほとんどは公費でまかなわれるため、一部の自己負担で検診を受けることができます。肺がんは男女とも年齢が上がるにつれて発症率が高まっていくため、40歳を過ぎたら毎年必ず肺がん検診を受診するようにしましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検査項目 | 問診および胸部X線検査 ※喫煙指数が高い人は加えて喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん) |
| 対象年齢 | 40歳以上 ※喀痰細胞診は50歳以上 |
| 受診間隔 | 年1回 |
肺がん検診の内容は、問診と胸部X線検査が基本とされています。胸部X線検査は、肺がんによる死亡を減らす効果が科学的に認められている検査です。さらに、50歳以上で喫煙指数が高い人([1日の喫煙本数×喫煙年数]が600以上の人)では、肺がんのリスクが高いと考えられるため、さらに喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)という検査も追加で実施します。これは、痰を採取して顕微鏡でがん細胞の有無を調べる検査です。
当医療法人の各クリニックでは、胸部X線検査による肺がん検診を実施しており、さらにより小さな初期の肺がんも検出できる、胸部CT検査を人間ドックのオプションとして実施しているクリニックもございます。
特に、喫煙歴が長い方や喫煙量が多い方では、通常の肺がん検診に加えて、胸部CT検査の受診をおすすめします。検査をご希望の方は、最寄りのクリニックへお気軽にお問合せください。
胸部CT検査をお受けいただけるクリニック
東京
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進興クリニック
〒141-6003
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 3F -
オーバルコート健診クリニック
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名古屋
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札幌
参考文献
記事監修
森山 紀之
医療法人社団進興会 理事長
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。





