MRI×AIで将来の認知症・脳卒中リスクが分かる。最新の脳検査「MVision Health」とは?

脳血管疾患は日本人の死因の上位を占めており、さらに、高齢者人口の増加に伴って認知症や軽度認知障害(MCI)の患者数が今後ますます増えることが予測される中、「脳の健康」に注目が集まっています。
脳の病気の早期発見につなげることを目的とする脳ドックのほか、近年はAIとビッグデータを活用して、脳の健康状態や将来のリスクを知ることができる新しい検査が登場しています。今回は、最新の脳検査「MVision Health(エムビジョン・ヘルス)」の特徴や脳ドックを受けるメリットについて解説します。
脳の健康が注目されている理由
命にかかわるだけでなく、健康寿命にも重大な影響を与えている脳の病気。
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患(脳卒中)は、日本人の死因の第4位を占め[※1]、また、介護が必要になった原因は第1位が認知症、第2位が脳卒中となっています[※2]。
日本は世界一の高齢国となり、認知症になる高齢者の数はますます増えつつあります。2025年に厚生労働省が発表したデータによると、わが国の認知症、ならびに認知症予備軍であるMCI(軽度認知障害)の高齢者の数は約1,002万人(2022年有病率調査)であり、65歳以上の高齢者の約3.6人に1人に上っています[※3]。
脳の病気は知らず知らずのうちに進行していることが多いため、自分の脳が健康かどうかを知るためには、検査を受けて脳の状態をチェックする必要があります。ただ、脳の状態を調べる検査は、一般的な人間ドックには含まれていないことが少なくありません。そこで、脳ドックなど専用の検査を受けることが有用です。
脳の健康を調べることができる検査

脳の健康状態を調べることができる検査には、画像診断で脳の病気の早期発見につなげる「脳ドック」がありますが、近年ではAIを活用し、脳の萎縮度合いなどから、病気になる前の脳の健康管理につなげる新しい検査も登場しています。
画像から脳の病気を見つける脳ドック
脳ドックでは主に、頭部MRI検査や頭部MRA検査を行います。頭部MRI検査は、強力な磁場が発生しているトンネル状の装置の中で頭に電磁波を当て、さまざまな方向から脳の断面画像を得る検査です。ラクナ梗塞という小さな脳梗塞や症状のない微小な脳出血、大脳白質病変(だいのうはくしつびょうへん)、脳血管腫、脳萎縮、脳腫瘍など、さまざまな病変を見つけることができます。
一方、頭部MRA検査はMRI検査と同じ装置を使い、脳血管の状態を立体的に画像化する検査です。未破裂の脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)や脳動脈狭窄(のうどうみゃくきょうさく)、脳動脈解離、脳動静脈奇形などの脳血管の異常を発見することができます。
頭部MRI検査では、脳が若い頃に比べ縮んでしまう脳萎縮や大脳白質病変などの変化がよく認められます。脳萎縮は加齢にともなって誰にでも現れる変化ですが、脳の萎縮が病的に起こると、認知症の発症要因になると考えられています。大脳白質病変とは、MRI画像で白く散在する斑点として描き出される病変で、動脈硬化などで脳の血の巡りが悪くなることが原因で起こります。大脳白質病変は年齢が上がるにつれて見つかることが増え、多く存在すると将来的に脳卒中や認知症になりやすいといわれています。
特に、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化の危険因子がある人は、将来的に脳の病気になるリスクが高いと考えられるため、脳ドックが推奨されます。
病気になる前に脳の健康を管理する「MVision Health」
これまでの脳ドックでは、医師が目視でMRI/MRA画像を確認し、脳の病気や形態の変化を診断(読影)してきました。近年は、AI技術を活用して画像を解析し、脳の健康状態を数値化するという新しい検査が登場しています。
MVision Healthの特徴
「MVision Health(エムビジョン・ヘルス)」は、そうした最先端の脳検査の1つです。医学、公衆衛生学分野で世界最高峰といわれる米国ジョンズ・ホプキンス大学が開発したAI技術と、3万件を超える日本人の脳画像データを組み合わせることで、脳ドックで撮影したMRI画像を解析し、「平均的な脳とどれくらい異なるのか」を判定します。
MVision Healthの評価指標
MVision Healthが脳の健康状態や脳年齢を評価するための指標としているのが、「脳の萎縮」と「大脳白質病変」です。脳は加齢とともに神経細胞が減って萎縮していくため、萎縮の進行度合いを見ることで脳の機能低下や将来の認知症発症リスクが分かります。また、大脳白質病変は脳の血管の健康度の目安になり、その体積が増加傾向にあるかどうかで脳卒中や認知症のリスクを推測できます。

血液検査のように脳の健康状態が数値で示されるため、経年変化が一目でわかる点もMVision Healthのメリットです。検査結果は「脳健康状態レポート」として提供され、脳データだけでなく脳の健康に欠かせない生活習慣のアドバイスも確認できます。

MVision Healthはこんな方におすすめ
- 高血圧や糖尿病、脂質異常症などの持病がある
- 脳卒中・認知症の家族歴がある
- 喫煙・飲酒の習慣がある
- バランスのよい食事がとれていない
- 残業が多く睡眠不足になっている
- デスクワークが多く運動不足
- 新しいことを覚えるのに時間がかかるようになった
- 人の名前が出てこないことが増えてきた
- 自分の脳の状態を知りたい
- 脳の健康を維持していきたい
脳ドックが、現時点で脳の病気を発見するための検査だとすれば、MVision Healthは「病気になる前に脳の健康を管理する」ための検査といえるでしょう。
MVision Health検査は、脳ドックで受けるMRI検査の画像を使って解析を行うため、脳ドックと一緒に受ければ、追加の検査は必要ありません。
認知症のリスクを知るには、認知機能のチェックも大切

認知症の中でもっとも患者数の多いアルツハイマー型認知症は、長い年月をかけて脳内にアミロイドβ(ベータ)などの異常なタンパク質が蓄積することで発症すると考えられています。アミロイドβの蓄積は認知症を発症する数十年前から始まっているといわれており、40~50歳代ですでに脳に何らかの変化が起こり始めている可能性があります。
実際、約7,000人を対象に10年間追跡調査を行った研究によると、認知機能の低下は45歳頃から始まっていることが明らかになっています[※4]。
そのため、認知機能の低下やその先にある軽度認知障害(MCI)、認知症のリスクを把握するには、脳の画像検査に加えて、脳の機能を調べる「認知機能検査」が役立ちます。
当医療法人では、「セラヴィ新橋クリニック」「立川北口健診館」「せんだい総合健診クリニック」の3施設でMVision Healthを組み込んだ脳ドックを実施しています。さらに、脳の形態と同時に認知機能もあわせて評価できるよう、「セラヴィ新橋クリニック」「せんだい総合健診クリニック」の2施設においては、MVision Healthとセットで「あたまの健康チェック®」も実施しています。
「あたまの健康チェック®」は、30歳以上の方を対象とした簡易認知機能検査です。10分程度の簡単な対話式テストで認知機能を評価するため、後日、専用のコールセンターに電話して検査をお受けいただく形となります。
人生100年時代だからこそ、脳の健康管理を
日本人の平均寿命が伸び、人生100年時代といわれる今、単に長生きするだけでなく、健康上の問題なく日常生活を送れる「健康寿命」をいかに伸ばすかが重要になっています。認知症大国になりつつある日本においては、体の健康だけでなく、脳の健康を守ることも欠かせません。
認知機能の低下は加齢とともに誰にでも起こり得ますが、生活習慣などによって脳の萎縮の程度や低下のスピードには大きな差が生じます。
「まだ自分には関係ない」と思わず、将来のために今から脳の健康管理を意識していくことが大切です。
MVision Healthの受診をご希望の方は、各施設へお気軽にお問い合わせください。
MVision Healthをお受けいただけるクリニック
東京
| 施設名 | アクセス |
|---|---|
| セラヴィ新橋クリニック | ・新橋駅 徒歩約5分 ・御成門駅 徒歩約7分 ・内幸町駅 徒歩約5分 ・虎ノ門ヒルズ駅 徒歩約8分 ・虎ノ門駅 徒歩約10分 ・汐留駅 徒歩約8分 |
| 立川北口健診館 | 立川駅 徒歩約5分 |
仙台
| 施設名 | アクセス |
|---|---|
| せんだい総合健診クリニック | ・あおば通駅 徒歩約6分 ・仙台駅 徒歩約8分 |
参考文献
※1:厚生労働省, 令和6年人口動態統計(確定数)の概況
※2:内閣府, 令和4年版高齢社会白書
※3:厚生労働省, 認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計
※4:Singh-Manoux A, et al.: BMJ. 2012: 344: d7622.
監修

森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。




