人間ドックとがん検診は何が違う?両方必要なケースと組み合わせ方

人間ドックとがん検診は、目的も調べられる病気の範囲も大きく異なります。どちらか一方を受けているだけでは、カバーできないがんや病気が出てくることがあります。ここでは、人間ドックとがん検診の違いや、現在の受診状況に応じた組み合わせ方を、ケース別に解説します。
この記事のポイント
- 人間ドックとがん検診の役割の違いと、それぞれが対応できる検査の範囲が分かります。
- 現在の受診状況(健康診断のみ・人間ドックのみ・がん検診のみ)に応じた活用方法が分かります。
- 年代・性別・家族歴に合った組み合わせの考え方が分かります。
目次
人間ドックとがん検診の違い
人間ドックは「全身の状態を多角的に調べる検査」、がん検診は「特定のがんを絞り込んで早期発見する検査」です。目的が異なるため、片方だけでカバーできる範囲には限界があります。
まずは2つの検診の特徴と、違いを整理しておきましょう。
| 人間ドック | 自治体がん検診 | |
|---|---|---|
| 分類 | 任意型検診 | 対策型検診 |
| 目的 | 個人の死亡リスクを減らす | 集団全体の死亡率を下げる |
| 実施主体 | 医療施設 | 自治体 |
| 対象とする病気 | がん・生活習慣病など広く | 胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん |
| 費用の目安 | 3〜6万円程度 | 無料〜数千円程度 |
①人間ドックとは
人間ドックは、体の状態を多角的に調べる健康診断のひとつです。自覚症状がない段階からがんや生活習慣病など、さまざまな疾患を早期に発見し、早期治療につなげることを目的としています。
費用は基本的に全額自己負担となり、標準的な人間ドックで3〜6万円程度が目安です。加入している健康保険組合や自治体によっては、費用の一部を補助している場合もあります。
人間ドックの基本コースには、胃・肺・大腸のがん検診に準じた検査が含まれています。つまり人間ドックを受けていれば、主要ながん検診の一部は同時にカバーされます。ただし、乳がん・子宮頸がん(女性)・前立腺がん(男性)といった部位のがんは基本コースに含まれないことが多く、気になる方はオプション検査として追加する必要があります[※1]。
②がん検診とは
がん検診は、特定のがんを早期に発見することを目的とし、国が定めた指針に基づいて自治体が実施する検査です。受診費用の一部または全額が公費で負担されるため、無料〜数千円程度で受診できます[※2]。
厚生労働省の指針では、死亡率の減少効果が科学的に認められている5種類のがん検診が定められています。多くの自治体では対象者に受診案内を送付しています。
5つのがん検診の対象年齢と受診間隔[※2]
| 種類 | 主な検査内容 | 対象年齢 | 受診間隔 |
|---|---|---|---|
| 胃がん | 胃X線(バリウム)検査または胃内視鏡検査 | 50歳以上(胃X線検査は40歳以上に実施可) | 2年に1回 ※胃X線検査は年1回実施可 |
| 大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
| 肺がん | 胸部X線検査 | 40歳以上 | 年1回 |
| 乳がん | 乳房X線検査(マンモグラフィ) | 40歳以上 | 2年に1回 |
| 子宮頸がん | 視診・子宮頸部の細胞診・内診 | 20歳代 | 2年に1回 |
| 視診・子宮頸部の細胞診・内診 | 30歳以上 | 2年に1回 | |
| 視診・HPV検査単独法 | 30歳以上 | 5年に1回 ※罹患リスクが高い人は1年後に再診 |
受診状況別にみる人間ドックとがん検診の活用方法
人間ドックとがん検診の活用方法は、現在どちらを受けているかによって変わります。以下の3つのケースに分けて解説します。
- 会社の健康診断のみ受けている方
- 人間ドックを受けている方
- 自治体のがん検診のみ受けている方
①会社の健康診断のみ受けている場合
会社の健康診断には、国が義務化している基本検査項目にがん検診は含まれていません。がん検診を受けるには、会社の健診オプションまたは自治体のがん検診を別途申し込む必要があります。
まず会社の健診にがん検診のオプションがあるかを確認し、ある場合は申し込みましょう。対象となる項目がない場合や、職場の健診を受けていない時期に当たる場合は、お住まいの自治体が実施するがん検診を活用してください。対象年齢・申し込み方法は自治体によって異なるため、自治体サイトで確認してみてください。
自治体がん検診の対象年齢外でがんのリスクが気になる方や、がん以外の病気も含めてより幅広く体の状態を調べたい方は、人間ドックの受診も検討するとよいでしょう。
②人間ドックを受けている場合
人間ドックの基本コースには胃・肺・大腸のがん検診に準じた検査が含まれているため、同じ年度内に自治体のがん検診を重複して受ける必要はありません。特に胸部X線検査など放射線を使う検査は、短期間に重ねて受けると被ばく量が増えるため注意が必要です。受診の際は、医療機関にすでに受けた検査の内容を伝えるとよいでしょう[※3]。
ただし、乳がん・子宮頸がん(女性)/前立腺がん(男性)の検査は、人間ドックの基本コースに含まれないことが多いです。これらが気になる方は、申し込み時にオプションを追加するか、自治体のがん検診を組み合わせるとよいでしょう。
③がん検診のみ受けている場合
自治体のがん検診は、胃・肺・大腸・乳房・子宮頸部の5つのがんを早期に見つけることに特化した検査です。そのため、膵臓・食道・前立腺など対象外のがんや、高血圧・糖尿病などの生活習慣病は調べることができません。
家族にがんの病歴がある方や、年齢を重ねてさまざまな病気のリスクが気になってきた方は、総合的に体の状態を調べられる人間ドックを組み合わせるとよいでしょう。
人間ドックとがん検診の受診順序と組み合わせ方
人間ドックとがん検診を組み合わせる場合、受ける順序や内容を適切に選ぶことが重要です。ここでは費用対効果の高い受け方の考え方と、年代・性別・健康状態に応じた組み合わせの目安を紹介します。
①受診順序の考え方
人間ドックとがん検診を組み合わせる場合、どちらを先に受けるかは費用や実施時期をもとに判断するとよいでしょう。
費用を抑えたい方は、無料〜低コストの自治体がん検診を先に活用する方法もあります。
自治体がん検診は実施期間が限られているケースも多いため、年度のはじめに受診できる期間をあわせて確認しておきましょう。
②年代・性別ごとの組み合わせ方
年代・性別ごとに、基本として受けたい検査と追加で検討したい検査の目安を以下にまとめました。個人の健康状態やこれまでの病歴(既往歴)によって異なるため、気になる点がある場合は医師にご相談ください。
なお、人間ドックで前立腺がんを調べるPSA検査を受ける場合は、家族歴の有無にかかわらず50代からの受診が推奨されています[※4]。
| 対象 | 基本として受けたい検査 | 追加で検討したい検査 |
|---|---|---|
| 30代(男女) | 自治体がん検診(対象のもの) | 人間ドック基本コース |
| 40代(男性) | 人間ドック+肺がん・大腸がん検診 | 胸部CT検査、腹部超音波検査 |
| 40代(女性) | 人間ドック+乳がん検診・子宮頸がん検診 | 乳腺超音波検査、婦人科オプション |
| 50代以上(男性) | 人間ドック(胃内視鏡含む)+5つのがん検診 | PSA検査(前立腺がん)、脳ドック、心臓ドック |
| 50代以上(女性) | 人間ドック(胃内視鏡含む)+5つのがん検診 | 脳ドック、心臓ドック |
③家族歴・リスクがある場合の受診の考え方
家族にがんを発症した方がいる場合、発症リスクが高まるとされており[※5]、通常より早い時期からの受診が有効なことがあります。
遺伝との関連が指摘されているがん(胃がん・乳がん・大腸がん・前立腺がんなど)については、人間ドックの基本コースに加えてオプション検査の受診も検討するとよいでしょう。家族歴やリスクに応じた受診内容については、医師にご相談ください。
よくある質問
人間ドックとがん検診に関して、よくある質問にお答えします。
費用を抑えてがんのリスクを調べたい場合、まず何を受ければよいですか?
まずお住まいの自治体のがん検診を確認し、対象となる検診を優先するとよいでしょう。無料〜数千円程度で5つのがん検診を受けられます。費用を抑えながらがんリスクを調べる最初のステップとして活用しやすい選択肢です。
人間ドックとがん検診は、別々の施設で受けてもよいですか?
別々の施設での受診も可能です。
ただし、過去の検査結果をまとめて見返せると体の変化に気づきやすくなるため、できれば同じ施設で続けて受診するとよいでしょう。複数の施設を利用する場合は、以前受けた検査の内容や結果を受診時に伝えるようにしましょう。
人間ドックはどのくらいの頻度で受ければよいですか?
年齢や健康状態によって異なりますが、40代以降は年1回の受診が目安です。20〜30代や健康に自信がある方でも、2年に1度程度は受けておくとよいでしょう。検査で気になる結果が出た場合は、受診間隔を短くして経過を確認する場合もあります。
自分の健康状態を知るために、人間ドックを
人間ドックとがん検診は、それぞれ異なる役割を持つ検診です。どちらか一方を受けていれば十分というわけではなく、現在の受診状況や年齢・健康状態に応じて組み合わせることが大切です。
まず自分の受診状況を確認し、カバーできていない検査があれば自治体がん検診や人間ドックのオプションを活用しましょう。年齢を重ねるにつれてリスクが高まる病気も増えるため、定期的な受診を習慣にすることが健康維持につながります。
医療法人社団進興会の各施設では、人間ドックをはじめ、充実したオプション検査を通じてがんや生活習慣病の早期発見をサポートしています。受診内容やご予約については、最寄りの施設へお気軽にお問い合わせください。
人間ドックをお受けいただけるクリニック
東京
-
セラヴィ新橋クリニック
〒105-0004
東京都港区新橋4-3-1 新虎安田ビル 3F・4F -
進興クリニック
〒141-6003
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 3F -
進興クリニックアネックス
〒105-0004
東京都港区新橋4-3-1 新虎安田ビル 3F・4F -
オーバルコート健診クリニック
〒141-0022
東京都品川区東五反田2-17-1 オーバルコート大崎マークウエスト 14F -
浜町公園クリニック
〒103-0007
東京都中央区日本橋浜町2-42-10 紙商健保会館3F・4F・5F -
東京ダイヤビルクリニック
〒104-0033
東京都中央区新川1-28-25 東京ダイヤビルディング3号館1F -
立川北口健診館
〒190-0012
東京都立川市曙町2-37-7 コアシティ立川ビル6F(男性受付)・9F(女性受付) -
立川北口レディス健診館
〒190-0012
東京都立川市曙町2-9-2 菊屋ビルディング 2F(受付)・3F
名古屋
仙台
札幌
参考文献
記事監修
森山 紀之
医療法人社団進興会 理事長
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。





