人間ドックで何が分かる?検査内容一覧と年代・性別別おすすめオプションを解説

人間ドックとは、健康診断より格段に幅広い50項目以上の検査で全身を調べる、「健康診断の上位版」です。この記事では、初めての人間ドックを受ける方に向けて、人間ドックで受けられる検査内容やコースの選び方、男女別、年代別のおすすめオプション検査について詳しく解説します。
この記事のポイント
- 健康診断と人間ドックは、検査できる内容にどんな違いがあるのか分かる
- 人間ドックのコース・オプション検査を、自分に合った形で選ぶための考え方が分かる
- 年代・性別によって優先すべきオプション検査が異なる理由と、その具体的な選び方が分かる
人間ドックの内容について簡単に言えば、「健康診断より格段に詳しい全身チェック」です。
人間ドックは一般的に、基本的なコースでも50項目以上を網羅し、血液検査・尿検査や心電図のほか、胃カメラ、腹部超音波(エコー)、便潜血検査など健康診断では受けられない検査が含まれます。
さらにオプション検査を追加すれば、胸部CTや脳MRI、全身MRI(DWI法)で、がんや脳の疾患などの早期発見にも対応できます。具体的な検査内容・コースの選び方・男女年代別のおすすめオプション検査について、次の各セクションで詳しく解説します。
そもそも、人間ドックは受ける必要がある?
健康診断と人間ドックでは、調べられる病気の範囲と検査の深さに大きな違いがあります。会社などにお勤めで毎年健康診断を受けていると、「わざわざ人間ドックを受ける必要はないのでは?」と感じるかもしれません。しかし、健診では検査項目が限られており、がんなどの病気を詳しくチェックすることはできません。
一方、人間ドックでは一般的に50項目以上の検査を実施し[※1]、選択するコースによってCT検査やMRI検査など、健診にはない高度で専門的な検査を受けることができます。特に、人間ドックはがんや心疾患、脳卒中などの病気の発見につながる内容も多く、これらの病気の有無や発症リスクについて具体的に知りたいなら、人間ドックの受診が推奨されます。
人間ドックは原則として全額自己負担(自由診療)となり、公的健康保険は適用されません。そのため、基本的なコースでも数万円以上の費用がかかることがほとんどです。ただ、加入している健康保険組合やお住まいの自治体によっては、人間ドックの受診費用に対して補助金や助成金が出る場合もあります。受診を検討しているなら、まずは加入している健保組合や自治体のホームページなどで費用補助の有無を確認してみましょう。
人間ドックの検査内容と検査で分かる病気

人間ドックでは、基本的なコースでも検査内容は50項目以上に上ることが一般的で、がん・心疾患・脳疾患など幅広い病気の早期発見につながります。さらに、「脳ドック」のように特定の部位をより詳しく調べる専門ドックや、「レディースドック」のように性別・年代に適した検査をパッケージ化したコースもあり、全身の健康状態をより広範囲かつ総合的にチェックすることができます。
どのコースにすればいいか分からないという場合は、自身の気になる病気や詳しく調べたい部位に応じた検査が受けられるかどうかで選ぶとよいでしょう。人間ドックで実施されることの多い代表的な検査内容と、そこから発見できる主な病気を次の表にまとめました。
人間ドックで実施することの多い検査と発見できる病気
| 検査 | 発見できる病気 |
|---|---|
| 身体計測 | 肥満、メタボリックシンドローム など |
| 血圧測定 | 高血圧、動脈硬化 など |
| 心電図検査 | 不整脈、狭心症、弁膜症、心不全 など |
| 心臓超音波(エコー)検査 | 心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、弁膜症、心筋症 など |
| 眼底検査、眼圧検査 | 白内障、黄斑変性、網膜剥離、緑内障、糖尿病網膜症 など |
| 血液検査 | 肝炎、肝障害、腎機能、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、高尿酸血症、ホルモン異常、貧血、細菌・ウイルス感染 など |
| 尿検査 | 糖尿病、甲状腺機能亢進症、糸球体腎炎、尿路結石、膀胱炎 など |
| 便潜血検査 | 大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、大腸がん など |
| 呼吸機能検査 | COPD、喘息、肺気腫、気管支喘息、結核、肺炎 など |
| 胸部レントゲン(X線)検査、胸部CT検査 | 肺がん、肺結核、肺炎、心肥大の有無 など |
| 胃部X線検査(バリウム検査)、胃内視鏡検査(胃カメラ) | 胃がん、食道がん、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、ピロリ菌感染の有無 など |
| 腹部超音波(エコー)検査、腹部CT検査 | 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓などの消化器系臓器の炎症、腫瘍の有無、胆石、脂肪肝 など |
| 大腸内視鏡検査(大腸カメラ) | 大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、直腸カルチノイド など |
| 頭部MRI・MRA検査 | 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管の狭窄 など |
| 頸動脈超音波(エコー)検査 | 動脈硬化の進行度、脳梗塞のリスク など |
| マンモグラフィ、乳房超音波(エコー)検査 | 乳がん、乳腺症、乳腺線維腺腫 など |
| 子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査、HPV検査 | 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、子宮筋腫、子宮内膜症 など |
| PSA検査 | 前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎 など |
| PET検査 | 肺がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、悪性リンパ腫、頭頸部がん など |
| 全身MRI検査[DWI法] | 全身に潜むがん |

オプション検査って追加したほうがいいの?
人間ドックのコースに任意で追加できる検査を「オプション検査」といいます。基本の検査に加えて、オプション検査を自由に追加できる点も人間ドックの大きなメリットです。健康面での不安やリスクに応じてオプション検査を活用することで、人間ドックを自分用にカスタマイズすることができます。
ただし、オプション検査の数を増やせば、その分金銭的な負担も大きくなります。そのため、まずはリスクの高そうな病気・部位を調べる検査を優先し、異常がなければ翌年は別のオプションを選ぶなど、オプション検査をうまくローテーションして活用するのも1つの方法です。進興会の各クリニックでは、年齢や性別に応じたオプション検査の相談にも対応しています。
かかりやすい病気は、年齢や性別、生活習慣、家族歴などによって異なるため、追加が推奨されるオプション検査も人それぞれです。性別・年代別に検討したいオプション検査を次の通りご紹介します。
【年代別】男性におすすめのオプション検査

男性は年代を問わず肥満や生活習慣病のリスクが高く、オプション検査でそのリスクを早めに把握しておくことが重要です。男性の場合、どの年代でも女性と比べると肥満者(BMI 25以上)の割合が高い傾向があります。30代に入ると肥満の割合は急激に増加し、30~60代男性の3人に1人は肥満と報告されています[※2]。肥満にともなって生活習慣病のリスクも高まり、糖尿病が強く疑われる人・糖尿病の可能性を否定できない人の割合は40代男性で11.1%、50代男性で21.9%に上ります。[※2]
生活習慣の乱れを自覚している方や健康診断でメタボリックシンドロームと言われたことがある方は、ぜひ早いうちからオプション検査を活用して生活習慣病や心疾患、脳卒中などのリスクを把握しておきましょう。
30代男性が検討したいオプション検査
30代は、不規則な生活習慣が原因で、血糖値やLDLコレステロール値が徐々に高くなってくる年代です。また、過度な飲酒や脂っこい食事は逆流性食道炎や肝機能障害、消化器のがんのリスクを高めます。オプション検査を追加するなら、これらの病気の有無やリスクを調べられる検査を選ぶとよいでしょう。
■30代男性におすすめのオプション検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 胃がんリスク検査(ABC検査)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
40代男性が検討したいオプション検査
男性がかかりやすいがんの上位を占める前立腺がん、大腸がん、肺がんは40代を過ぎると徐々に患者数が増えてくるがんです。大腸がんや肺がんは国の指針に基づいて実施されるがん検診があるため、人間ドックと併せてがん検診を受けるのもよいでしょう。より詳しく調べたい場合や複数のがんのリスクを一度にチェックしたい場合は、オプション検査を活用するのがおすすめです。
■40代男性におすすめのオプション検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 胸部CT検査
- 腹部CT検査
- 全身MRI検査[DWI法]
50代男性が検討したいオプション検査
50代になると、様々な部位のがんの発症リスクが高まってきます。特に近年、前立腺がんを発症する人が急増しており[※3]、PSA検査は50歳を過ぎたら定期的に受けておきたい検査です。全身のがんリスクを一度に広く調べておきたいという方には、全身MRI検査[DWI法]もおすすめです。また、働き盛りでストレスの多い世代でもあるため、脳梗塞などのリスクもこの時期に調べておくとよいでしょう。
■50代男性におすすめのオプション検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 腹部CT検査
- PSA検査
- 頭部MRI・MRA検査
- PET検査、全身MRI検査[DWI法]
【年代別】女性におすすめのオプション検査
女性のオプション検査では、女性特有のがんへの備えと、ホルモン変化に伴うリスク対策の両面を意識することが大切です。乳がんや子宮頸がん、子宮体がんなどは若くても注意が必要で、子宮頸がんは20代後半から、乳がんは30代前半から増加してきます[※4,5]。また、女性の健康には女性ホルモンの変化が大きく影響しており、閉経を迎えると骨粗しょう症や脂質異常症、動脈硬化などのリスクが高まることが知られています。
オプション検査の活用はもちろん、女性特有の病気に特化した検査をバランスよく盛り込んだ「レディースドック」を用意している医療機関も多いので、ぜひこれらを活用して早いうちから病気のリスクを把握しておきましょう。
30代女性が検討したいオプション検査
30代女性は、特に乳がんや子宮頸がんなどの女性特有のがんに注意する必要があります。子宮内膜症や子宮筋腫なども多いので、がんと併せてこれらの病気の有無を調べられるオプション検査を選ぶとよいでしょう。
■30代女性におすすめのオプション検査
- マンモグラフィ
- 乳房超音波(エコー)検査
- 子宮頸部細胞診
- 経腟超音波(エコー)検査
- HPV検査
40代女性が検討したいオプション検査
40代も、30代に引き続き女性特有のがんに気を付ける必要があります。特に、乳がんは40代後半で発症ピークを迎え、子宮体がんの発症も40代から急激に増加します[※5,6]。大腸がんや肺がん、胃がんなどの男女ともにかかりやすいがんの発症も40代から徐々に増えてきます。また、女性の場合は閉経後の50代から急激に骨密度が低下するため、この時期に自分の骨量を把握しておき、骨粗しょう症予防につなげられるとよいでしょう。
■40代女性におすすめのオプション検査
- マンモグラフィ
- 乳房超音波(エコー)検査
- 子宮頸部細胞診、子宮内膜細胞診
- 経腟超音波(エコー)検査
- 骨密度検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 全身MRI検査[DWI法]
50代女性が検討したいオプション検査
50代になると、女性特有のがんだけでなく、全身の様々な部位のがんの発症リスクが高まってきます。また、閉経による女性ホルモンの急激な減少は代謝機能に大きな影響を与え、内臓脂肪がつきやすくなったり、LDLコレステロール値が上昇しやすくなったりします。そのため、動脈硬化が原因で起こる心疾患や脳卒中にも、この時期から気を付けることが大切です。
■50代女性におすすめのオプション検査
- マンモグラフィ
- 子宮内膜細胞診
- 経腟超音波(エコー)検査
- 骨密度検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 頭部MRI・MRA検査
- PET検査、全身MRI検査[DWI法]

初めてでも選びやすい。進興会の人間ドック
進興会では、年齢や性別、気になるリスクに合わせた多様な人間ドックコースをご用意しております。
進興会の人間ドックの検査項目例
| コース | こんな方におすすめ | 主な検査項目 |
|---|---|---|
| スタンダードドック(日帰り人間ドック) |
40歳以上の方 初めて人間ドックを受ける方 生活習慣病が気になる方 |
基本検査 血液検査 心電図 腹部超音波(エコー) 胸部レントゲン(X線) ABC検査 or バリウム or 胃カメラ |
| スタンダードプラスドック |
40歳以上の方 喫煙者の方 がん・生活習慣病などを総合的に検査したい方 |
基本検査 血液検査 心電図 腹部超音波(エコー) 胸部レントゲン(X線) バリウム or 胃カメラ 胸部CT 腫瘍マーカー 内臓脂肪CT NT-ProBNP |
| レディースドック |
基本の人間ドックを受けたい方 女性特有の病気が気になる方 すべての年代の女性 |
基本検査 血液検査 心電図 腹部超音波(エコー) 胸部レントゲン(X線) バリウム or 胃カメラ 腫瘍マーカー 子宮頸部細胞診 経腟超音波(エコー) マンモグラフィ 乳房超音波(エコー) HPV検査 骨密度検査 NT-ProBNP |
| プレミアムドック |
40歳以上の方 がん・脳疾患などを総合的に検査したい方 血縁者にがんの既往歴がある方 |
基本検査 血液検査 心電図 胸部レントゲン(X線) 胸部CT バリウム or 胃カメラ 腹部超音波(エコー) 腹部CT 腫瘍マーカー 頭部MRI・MRA 血圧脈波検査 甲状腺ホルモン検査 骨密度検査 内臓脂肪CT NT-ProBNP |
| プレミアムDWIドック |
全身のスクリーニング検査をしたい方 がん・脳疾患などを総合的に検査したい方 40歳以上でワンランク上の検査をしたい方 |
基本検査 血液検査 心電図 胸部レントゲン(X線) 胸部CT バリウム or 胃カメラ 腹部超音波(エコー) 腹部CT 腫瘍マーカー 全身MRI 頭部MRI・MRA 血圧脈波検査 内臓脂肪CT 頸動脈超音波(エコー) 甲状腺超音波(エコー) 甲状腺ホルモン検査 骨密度検査 NT-ProBNP 子宮頸部細胞診 経腟超音波(エコー) マンモグラフィ 乳房超音波(エコー) HPV検査 |
進興会の各クリニックでは、基本的な血液・尿検査から画像検査、内視鏡、婦人科検査まで、幅広い検査をカバーしています。検査項目・コース内容はクリニックにより異なりますので、詳細は各クリニックのページをご覧ください。
健康診断と人間ドックについてよくある質問
健康診断と人間ドックに関して、当法人の医療機関でもよくいただく質問にお答えします。
人間ドックの費用の相場を教えてください。
一般的な日帰り人間ドックの相場は3~6万円ほどです。CT検査やMRI検査のような高度な検査が含まれているコースの場合、10万円を超えることもあります。費用には検査内容だけでなく、検査に関わる医師や看護師らのスタッフ数、ホスピタリティ、アフターフォロー体制などの様々な要因が反映されているため、同じような内容でも医療機関によって価格設定は異なります。
人間ドックのオプション検査はどうやって選べばいいですか?
性別や年齢のほか、家族歴、生活習慣などをふまえて検査を選ぶといいでしょう。たとえば、血縁者にがんや心疾患、脳卒中などにかかった人がいる場合、自分自身もその病気にかかるリスクが高い可能性があるため、関連する検査を追加するのがおすすめです。また、喫煙歴がある場合は肺を調べる検査、お酒をよく飲むなら肝臓を調べる検査など、日々の習慣からリスクが高そうと考えられる部位をターゲットにした検査を追加するのもよいでしょう。
人間ドックを受ければすべての病気を見つけられますか?
人間ドックは、生活習慣病やがんをはじめ、多くの病気の早期発見に有効な検査です。ただし、ごく初期で病変が小さい場合など、一度の検査では検出が難しいこともあります。このように、検査では異常が見つからなかったにもかかわらず実際には病気が存在する「偽陰性」や、反対に検査結果が「異常あり」と判定されても、精密検査の結果、病気ではないと判明する「偽陽性」の可能性もゼロではありません。
だからこそ、定期的に人間ドックを受診し、経年変化を継続して確認することが、病気発見の確率を高めることにつながります。

参考文献
※1 日本人間ドック・予防医療学会, 検査表の見方
※2 厚生労働省, 令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要
※3 国立がん研究センター, がん情報サービス がん種別統計情報 前立腺
※4 国立がん研究センター, がん情報サービス がん種別統計情報 子宮頸部
※5 国立がん研究センター, がん情報サービス がん種別統計情報 乳房
※6 国立がん研究センター, がん情報サービス がん種別統計情報 子宮体部
監修

森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。




